こんにちは、おんちゃんです。
さて、一人でおそばを売りに行かなければならなくなった「はや坊」ですが、どうなることやら。
しまったなぁ、どこでやればいいか、聞いてこなかったよ。
まぁ、どこでもいいか。
よっこいしょ、さーてやってみるか。
おーーーーそばーーーーー。
おーーーーそばーーーーー。
しかし、さっきからひとっこひとり通らねーなぁ。
どういうこった?
あ! 何だよ、ここ墓場じゃねーか!
おいおい、じょーだんじゃないよ、これじゃ人なんて来るわけねーや。
おー、おっかねぇ、さっさとトンズラだ。
ふー、びっくりした。
さーて、ここなら程よく人通りもあるし、ちょうどいいだろ。
おーーーーそばーーーーー。
おーーーーそばーーーーー。
『おっ、なんだ、いいにおいじゃねーか。』
『おい、そば屋、一杯くれ。』
わん!
『わん?』
いけね、犬のクセが出ちまった。
へぃ、いらっしゃい。
『なんだ?、犬がそば売ってやがる、妙な世の中になったもんだ。』
『まぁなんでもいいや、かけ一杯くれ』
よーし、おんちゃんに教わったとおり、
お湯に入れて八つ・・・
お湯に入れて八つ・・・
お湯に入れて・・・
『おい!! お前本当にそば作れんのか!?』
『さっきから見てりゃあ、もっと真面目にやれ、真面目に。』
へぇ、すいやせん、何か緊張しちゃって、へへへ・・・。
『へへへじゃねぇよ、早く作れ、こっちは腹減ってんだからよぉ。』
へぇ! ただいま!
つづく
―― あとがき
はや坊が、だんだん江戸っ子の口調になってきたのは、ご愛嬌ということで・・・。
さて、そばを食いに来たのは八丁堀の旦那。
一筋縄ではいかぬ相手です。
はや坊の運命やいかに。