こんにちは、おんちゃんです。
出発してから4時間半、やっと実家についた。
庭に、小さな畑ができていた。
はや坊も、もう慣れたもので、だいぶリラックスしている。
実家では、ごちそうを用意していた。
お酒もいっぱい飲んだ。
次の日、お墓参りに行った。
そのあいだ、はや坊はお母やんと留守番。
お母やんの話では、茶の間の一番いいところで、大きな顔して寝ていたという。
その後、親戚の家を拝んでまわり、夜は中学時代の同級生と飲みに行った。
地元の友達で、いまでも交流があるのは、彼だけである。
久しぶりに会った彼は、課長になっていた。
私が飲みに行ってる間も、はや坊は、まるで10年も住んでいるかのように、和んでいたという。
~~~ シトラス・ヒル からの手紙 ~~~
おんちゃんの実家には、お墓が二種類ある。
昭和になってからの新しいお墓と、おそらく江戸時代あたりからの、先祖代々の古いお墓。
場所も、それぞれ離れている。
前々日の雨で、古い墓地はだいぶぬかるんでしまい、お墓参りは新しい墓地だけすることになった。
でもせっかくなので、おんちゃんは後ではや坊と古い墓地に散歩に行った。
行く途中で二人とも、足が泥だらけになった。
墓地につくと、何体かお墓が倒れていた。
おんちゃんは、はや坊のリードを墓地の入口の木に結びつけて、お墓をおこした。
そして、ひとつづつ全てのお墓を拝み、歴代のペットのお墓のところにきた。
エス、コロ、ジロー、猫のタマとシロ。
みんな、王道の名前だ。
おんちゃんは心の中で、「ありがだす、おまぶれんせ」と唱えて、墓地をあとにした。
そして、おんちゃんとはや坊が家の足洗い場で泥を落としていると、お母やんから「はや坊と田植えしてたのか?」と言われていた。
どんどはらい。
――あとがき
エスは、私が生まれる前に飼っていた犬です。
コロとジローは、はっきりとおぼえています。
今思えば、彼らにはじゅうぶんな愛情を注いでいなかったと思います。
今思えば・・・。
その分、はや坊をいっぱいかわいがります。