こんにちは、おんちゃんです。
一人で店番をしていたはや坊、そこに上方訛のお客さんが・・・。
「わたし、中橋の加賀屋佐吉方から参じました。」
お、上方の人だ・・・。
「先日、仲買の弥市が取次ぎました品の事で参ったしだいです。」
はぁ。
「依頼されたもんは、だいたい買い付けまして。」
はぁ。
「『のんこの茶碗』や、『金明竹の花活け』は、ご希望通りのものが手に入りましてんけども。」
はぁ。
「ただ、『松尾芭蕉直筆の掛け軸』だけは、少々難しいことになってまして・・・。」
はぁ。
「どうにも、持ち主の『兵庫の坊主が表具を上手に屏風に仕立てる』と、こないに言うてますので、屏風に仕立て終わるまで少々時間がかかると・・・」
はぁ。
「しかし旦那はんも、いいもんに目を付けはりました、『古池や蛙飛び込む水の音』、とは、芭蕉の中でも特に名句ですからなぁ。」
はぁ。
「それでは、旦那はんに、こないに言付けをお願いします。」
さて、帰ってきた旦那が様子を聞きますと・・・。
『どうだい、はや坊、お客さん来たかい?』
へぇ、仲買の弥市さんの使いが来ました。
『おぉ来たかい、それで、何て言ってたんだい?』
『何言ってるかわからないじゃないか』
すごく訛ってて早口だから、わかんないんです。
『どこか、憶えてる部分ないのかい?』
『なにをやっているんだか、もうお金は渡しているんだから・・・』
『頼んだものは、買ったと言ってたかい?』
――あとがき
このお話は、古典落語の「金明竹」をもとに、はや坊にあわせてアレンジさせていただきました
もう、「これぞ与太郎!!」というような話ですね。