「骨董屋(その2)」の巻


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こんにちは、おんちゃんです。

一人で店番をしていたはや坊、そこに上方訛のお客さんが・・・。

「わたし、中橋の加賀屋佐吉方から参じました。」

 お、上方の人だ・・・。

「先日、仲買の弥市が取次ぎました品の事で参ったしだいです。」

 はぁ。

「依頼されたもんは、だいたい買い付けまして。」

 はぁ。

「『のんこの茶碗』や、『金明竹の花活け』は、ご希望通りのものが手に入りましてんけども。」

 はぁ。

「ただ、『松尾芭蕉直筆の掛け軸』だけは、少々難しいことになってまして・・・。」

 はぁ。

「どうにも、持ち主の『兵庫の坊主が表具を上手に屏風に仕立てる』と、こないに言うてますので、屏風に仕立て終わるまで少々時間がかかると・・・」

 はぁ。

「しかし旦那はんも、いいもんに目を付けはりました、『古池や蛙飛び込む水の音』、とは、芭蕉の中でも特に名句ですからなぁ。」

 はぁ。

「それでは、旦那はんに、こないに言付けをお願いします。」

さて、帰ってきた旦那が様子を聞きますと・・・。


『どうだい、はや坊、お客さん来たかい?』

 へぇ、仲買の弥市さんの使いが来ました。

『おぉ来たかい、それで、何て言ってたんだい?』

『何言ってるかわからないじゃないか』

 すごく訛ってて早口だから、わかんないんです。

『どこか、憶えてる部分ないのかい?』

『なにをやっているんだか、もうお金は渡しているんだから・・・』

『頼んだものは、買ったと言ってたかい?』

「骨董屋(その1)」の巻


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――あとがき

このお話は、古典落語の「金明竹」をもとに、はや坊にあわせてアレンジさせていただきました

もう、「これぞ与太郎!!」というような話ですね。


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