こんにちは、おんちゃんです。
今日は朝から雨が降っている。
この様子じゃ、今日は一日家の中だな。
ちょっとがっかりしながら、はや坊の朝食を準備する。
今日はおんちゃんがあげるからな。
少し落ち着いたら朝の散歩に行く。
はや坊、今日はカッパな。
やわらかい春の雨。
思ったほど、いやなものでもなかった。
はや坊は、ちょっとテンション低め。
はや坊、悪いけどちょっと遠回りしないか?
雨を集めて用水路はゆっくりと流れている。
田おこしには、まだ少し早い。
時期が来れば、一斉にトラクターが動き出す。
散歩コースは、どこまでも田んぼばっかりで、代り映えしない。
足元もすっかり濡れてしまった。
はや坊も、足元がスッパネだらけだ。(※1)
雨はやまない。
予報では夜まで降り続けるらしい。
うまくいかないことばっかりだな。
無意識に出たつぶやき。
はや坊が、いつもと同じ顔で見上げてくる。
すれ違う車が、水をはねないようにゆっくりと走って行った。
はや坊は、小さいフキノトウを見つけてにおいをかいでいる。
そうだな、はや坊。
いい時でも、そうでない時でも、かわらずに季節は変わっていくんだな。
もう少しすれば、緑の風が吹いてきて樹々がざわめく。
とりあえず、がんばらなきゃな。
そろそろ帰ろうか、はや坊。
おばちゃんが待ってるぞ。
はや坊、ありがとな。
―― あとがき
時々、はや坊からポンポンと肩を叩かれているような気がする時があります。
「とりあえずがんばらなきゃ」
とりあえずでいいのだ。
※1 スッパネ:濡れている場所を走ったり歩いたりしたとき、足や体に跳ねて付いた泥