「くず屋の災難(其の参)」の巻


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こんにちは、おんちゃんです。

仏像から、思わぬものが出てきましたが、さて恩茶乃介はどうするのでしょうか?

前回のお話

「くず屋の災難(其の壱)」の巻

「くず屋の災難(其の弐)」の巻

仏像の中から転がり出てきたのは、小判五十両。

ビックリしたのは恩茶乃介

『これを売った人は、まさか中に小判が入っているとは思っていなかったに違いない。』

『仏像は買ったが、中の小判まで買った覚えはない。』

と、もとの持ち主に返そうと思ったのですが、持ち主はおろか、くず屋の名前さえ分かりません。

しょうがないからってんで、あくる日から、お窓下を通るくず屋に、かたっぱしから「顔を見せろ」と声をかけておりました。

そうしているうちに、妙な噂がたちました。

● くず屋が、細川様のお屋敷の前を通ると、必ず顔をあらためられる。

● どうやら、そこの若侍が仇をさがしているらしい。

この噂を聞いたはや兵衛さん、その侍がさがしているのは自分だと気付きました。

「縁起悪いからって頭にきて、ついでにおれの首まではねちまおうってか?」

「ちょっとまってくれ、冗談じゃないよ」

はや兵衛さんは、困ってしまいました。

なにせ、細川様のお屋敷を通らなければ、お得意先にも行くことができません。

そこで、お屋敷の前だけ「甘酒屋」のふりをすることにしました。

「あーーーまざけーーーーぇ」

『おー甘酒か、それはいいな。おーい、一杯もらおうか。』

つい、いつもの癖で、愛想よく返事をしてしまったはや兵衛さん

恩茶乃介は、はや兵衛さんを捕まえると、話し出しました。

『なぁ、くず屋。』

「へぇ・・・」

『あの仏像だが、あまりにすすけてるのでな、磨こうと思って洗っておったのだ。』

「へぇ・・・」

『すると、ポロっと・・・』

恩茶乃介は事情を説明し、小判をもとの持ち主に返してくれるよう、はや兵衛さんに頼みました。

そこは、さすが「正直はや兵衛」さん、ネコババせずにちゃんと朴斎のところへ持ってきました。

つづく。

続きのお話

「くず屋の災難(其の四)」の巻

「くず屋の災難(其の伍)」の巻


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――あとがき

やっぱり、江戸っ子っていいなぁ。

粋で短気でおっちょこちょい、涙もろくてお節介。

ちょっと憧れます。


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