こんにちは、おんちゃんです。
仏像から、思わぬものが出てきましたが、さて恩茶乃介はどうするのでしょうか?
前回のお話
仏像の中から転がり出てきたのは、小判五十両。
ビックリしたのは恩茶乃介。
『これを売った人は、まさか中に小判が入っているとは思っていなかったに違いない。』
『仏像は買ったが、中の小判まで買った覚えはない。』
と、もとの持ち主に返そうと思ったのですが、持ち主はおろか、くず屋の名前さえ分かりません。
しょうがないからってんで、あくる日から、お窓下を通るくず屋に、かたっぱしから「顔を見せろ」と声をかけておりました。
そうしているうちに、妙な噂がたちました。
● くず屋が、細川様のお屋敷の前を通ると、必ず顔をあらためられる。
● どうやら、そこの若侍が仇をさがしているらしい。
この噂を聞いたはや兵衛さん、その侍がさがしているのは自分だと気付きました。
「縁起悪いからって頭にきて、ついでにおれの首まではねちまおうってか?」
「ちょっとまってくれ、冗談じゃないよ」
はや兵衛さんは、困ってしまいました。
なにせ、細川様のお屋敷を通らなければ、お得意先にも行くことができません。
そこで、お屋敷の前だけ「甘酒屋」のふりをすることにしました。
「あーーーまざけーーーーぇ」
『おー甘酒か、それはいいな。おーい、一杯もらおうか。』
つい、いつもの癖で、愛想よく返事をしてしまったはや兵衛さん、
恩茶乃介は、はや兵衛さんを捕まえると、話し出しました。
『なぁ、くず屋。』
「へぇ・・・」
『あの仏像だが、あまりにすすけてるのでな、磨こうと思って洗っておったのだ。』
「へぇ・・・」
『すると、ポロっと・・・』
恩茶乃介は事情を説明し、小判をもとの持ち主に返してくれるよう、はや兵衛さんに頼みました。
そこは、さすが「正直はや兵衛」さん、ネコババせずにちゃんと朴斎のところへ持ってきました。
つづく。
続きのお話
――あとがき
やっぱり、江戸っ子っていいなぁ。
粋で短気でおっちょこちょい、涙もろくてお節介。
ちょっと憧れます。