こんにちは、おんちゃんです。
宮古にきて3日目、今日宮城県にかえる。
せっかくだから、はや坊に色んな所をみせてまわろう。
実家のあった場所。
3年間、歩いてかよった高校。
小学校。
同級生は16人。
小学校の校庭。
ここに、仮設住宅があった。
ちょっと遠いけど、いいところに連れてってあげよう。
このおくに、家の山がある。
そこは、「ウスコノサワ」と呼ばれている。
小さなころに、お父やんと、薪にする木を切りにいった。
家に帰ってきたら、ちょうど雨がふってきた。
さて、帰る準備しようか。
じゅうぶんに宮古を堪能したか、はや坊よ。
それじゃ、おばちゃんの待ってる、わが家へかえろうか。
~~~ シトラス・ヒルからの手紙 ~~~
宮古への郷帰り、最終日。
おんちゃんは、思い出の場所を、はや坊と散歩してまわった。
心に棲みつくさまざまな情景は、とても懐かしく、ちょっぴりさびしかったりした。
子どものころ通っていた小学校は、今の実家のすぐ近く。
校庭には、校舎の影が長くのびて、夏草がゆれていた。
ここにはまだ、色んなものがのこっている。
家にもどると、お父やんが高校野球をみていた。
どちらも東北の学校ではなく、注目の選手もいなかった。
おんちゃんは、特に興味なさそうに庭へ出た。
そして、畑のミニトマトをもいで食べる。
「冷えてたらうまいのにな」
そんなことをつぶやきながらも、おんちゃんは6つ食べた。
部屋にもどると、お父やんとはや坊は、野球も見ずに遊んでいた。
試合は、最終回2アウト。
かなりの大差。
そして、最後のバッター。
興味なかったはずのおんちゃんは、固唾を呑んで見守っている。
打った。
セカンドゴロ。
バッターは、思いきり頭からすべりこんだ。
夏が終わった。
荷物やお土産を車に詰めこんで、忘れ物がないか入念にチェック。
お父やんとお母やんは、名ごり惜しそうに、はや坊にちょっかいをかけたり話しかけたりしている。
はや坊を車に乗せ、「じゃあ帰るよ」とおんちゃん。
しかし、そこからなかなか会話が終わらない。
おんちゃんは、車に乗りかけた体勢のままでいる。
昨日あんなに話したのに、話題がつきない。
しばらく話した後、おんちゃんとはや坊は、やっと出発した。
宮古をぬけて山田町に入ると、おんちゃんはおにぎりを取り出した。
お母やんが、「途中で、ハラがへったら食べなさい」と、よこしたもの。
もう食べるのか。
おにぎりをひとくち食べて、おんちゃんはつぶやいた。
「宮古さりがたし。」
おんちゃんは、少しのあいだカーステレオのスイッチを切って走った。
どんどはらい。
――あとがき
今回は、同級生と飲んで、「たらふく」の中華そばも食べて、だいぶ充実した郷帰りでした。
つぎは、おばちゃんもいっしょにね。