こんにちは、おんちゃんです。
だいぶ前の話。
はや坊が家に来る前の年、家の裏庭に子ウサギが住みついた。
そのウサギは、朝しか姿を現さなかった。
出勤前に、こっそりと庭をのぞくとチョコチョコと可愛く動いていた。
家の後ろは、ちょっとした林になっているので、確かにいろんな動物を見かけるのだが。
しかし、ウサギが住みつくとは思わなかった。
ウサギは、1週間ほどで姿が見えなくなった。
ちょっと寂しかったが、山に帰ってくれれば安心だ。
元気に暮らすんだよ。
間違っても、道路に出てきて車にひかれたりするんじゃないぞ。
それから一年ほど経ち、はや坊という家族も増えて、すっかりウサギのことなど忘れていた。
行きつけの動物病院に、フィラリアの検査と予防をしに行く時、アイツは現れた。
すぐ後ろにいたのに、おばちゃんは気付かなかった。
あいつだ。
だいぶ大きくなってたが、間違いなくあいつだ。
根拠はないが、自信はあった。
絶対にあいつだ。
私にはわかった。
確実にあいつだ。
きっと、立派になった姿を見せに来たんだ。
もしかして、こういうこと?
もしそうだったら、うれしい。
どんどはらい。
――あとがき
子ウサギが住みついた時、捕まえようか迷ったのですが、そのまま見守ることにしました。
「たまたまだろ」と言われれば、それまでですが、私は「あの時の子ウサギが、立派になった姿を見せに来た」と思ってます。