こんにちは、おんちゃんです。
遠い昔から、世の中には「珍しいものを見せて入場料を取る」という、いわゆる見世物小屋というものがありまして、もともとは能や歌舞伎もその一つだったと言われています。
内容は色々あったそうで、中には低俗な物や公序良俗に反するものもあったそうですが、だいたいは現在で言うところの美術館、サーカス(パフォーマー)、そして動物園が多かったようです。
よぉ、はやの字、おめぇさんちょっと変わった仕事をするつもりはねぇかい?
「変わった仕事ってなんだよ?」
近々この辺りで、ちょっとの間、見世物小屋を開こうって人がいてな、その手伝いをしてほしいって話なんだよ。
「手伝いったって、何やんだよ。」
なんでもな、見た事もねぇ動物をいっぱい連れてきて見せようって話だ。
「へぇー珍獣かぁ、そりゃ見てぇなぁ。」
そんでな、一番の目玉ってのが「白い唐獅子(ライオン)」だってんだよ。
「へぇー、唐獅子ってだけでも珍しいのに、それが白いのか。そりゃすげーな。」
だろ? ところがだ、その唐獅子が手違いで来れねーらしいんだよ。
「なんでぇ、目玉がいねーんじゃ、話になんねぇじゃねえかよ。」
そこだよ。
「?」
その興行主の人が、代わりを血眼になって探してるってんだよ。
「それで?」
おめぇさん、どうだい?やってみちゃ。
「馬鹿言っちゃいけねぇよ、唐獅子ならわかるけどよ、白い犬なんて珍しくもなんともねぇじゃねぇか。」
ちがうよ、そのままでるんじゃねぇって、おめぇさんが唐獅子に化けるんだよ。
「なに!」
そうじゃねぇよ、まぁまぁ怒るなって。
何かで見たことあんだろ?犬がタテガミつけりゃ、唐獅子そっくりになるってよぉ。
「そりゃ、アマゾンじゃねーか、この時代にその話はできねぇだろ。」
ちょうどおめぇさんも白いし、四つんばいも得意だろ?
「まぁな。」
そんじゃ決まりな、実は話はもう通してあんだよ、一日200文ってんだから悪くねぇだろ?
おれが弁士やるから、はやの字も安心して愛想ふりまいときゃいいよ。
つづく。
―― あとがき
さぁ、妙な仕事を引き受けたはや坊、この後どうなることやら。
最後までお付き合いをお願いします。